どうなるHuawei(ファーウェイ)? スマホの未来
アメリカ政府によるHuawei(ファーウェイ)追放に関する情報をまとめました。
私はパリの展示会でのP30 Proのプレゼンを見て、すっかりHuaweiのファンになりました。
20年愛用し続けたSonyを手放し、満を持して購入したP30 Proは使い心地も非常に良いだけに、Huawei、いや、スマホの未来について大変心配しています。
そこで、Huaweiに対する禁輸措置の内容を踏まえ、Huaweiのスマホが今後どうなっていくのかを考察していきたいと思います。
なお、私はスマホやITの専門家ではありませんので、取集し得る情報には限界があり、またこのような情報に基づいた考察であるということをあらかじめご了承ください。
そもそもなぜアメリカ政府はHuaweiに禁輸措置を取るのか?
Huaweiは1987年に中国の深圳に設立されました。
携帯電話のインフラ整備に必要な通信機器ベンダーとして中国企業向けに提供を開始し、いまでは世界第1位の通信機器ベンダーとなりました。
またスマホのシェアは2019年1月~3月の出荷台数ベースでApple(アップル)を超え、Samsung(サムソン)に次ぐ世界第2位を記録しています。
私は2019年1月にフィリピンのマニラに1か月滞在したのですが、多くの人がHuaweiを使用していました。
20年来のSony信者の私ですが、Mate 20 Proを実際に触らせてもらった時の感動は忘れられません。
ところで、なぜアメリカ政府はHuaweiに対して禁輸措置を取ってるのでしょうか?
2000年代に入ってから、Huaweiは国連が経済制裁を行っているイラクやアフガニスタンや、アメリカが経済制裁を行っているイランに対して通信機器を支援していることで、安全保障上の脅威となっていきました。
2012年にはアメリカ連邦議会下院の諜報委員会の調査により、Huaweiは中国国家と共謀しており通信インフラを利用したスパイ活動を行っている可能性が高いとし、アメリカ政府はHuaweiの製品に使用を禁止するとともに、民間企業にも使用の自粛を勧告しました。
そして2018年12月、孟晩舟CFO(Huawei創業者の娘)がイランへの不正な製品輸出の疑いがあるということで、カナダで身柄を拘束され、2019年1月にはHuaweiと孟晩舟CFOは起訴されました。
アメリカ司法省は「Huaweiは他の企業から技術や機密情報を盗み出すことに成功した社員へボーナスを支給していた」とも指摘をしているようです。
2019年5月15日、トランプ大統領は、アメリカ企業が安全保障上の脅威がある外国企業から通信機器を調達することを禁止する大統領令に署名し、Huaweiが禁輸措置対象リストに掲載されます(ただし、猶予措置として2019年8月19日までの製品の調達を認めるとしています)。
これを受け、Androidシステムを供給してきたGoogleやその他アメリカ企業は、Huaweiに対してサービス・部品の供給の一部停止を発表しました。
以上が簡潔ではありますが、アメリカ政府がHuaweiに禁輸措置をとった一連の流れになります。
Huaweiが中国国家と共謀してスパイ活動を行っているかどうかは別として、いずれにしろアメリカ企業だろうが中国企業だろうが日本企業だろうが、自身が供給している通信インフラを解析すれば情報を取得できるし、国家が要請すれば企業はその情報を提供せざるを得ないように、個人的には思います。
したがって、国家機密や企業機密を守るという目的において、他国のインフラを利用しないという選択肢は十分考えられるものの、一企業が製品を作れないようにするために一国家が制裁する、というのは行き過ぎのように思います。
もはやHuaweiの技術が凄すぎてアメリカ企業がついて来れず、それを見かねてあらゆる手段で潰しにかかった、と個人的には思わざるを得ません。
あくまで限られた情報に基づく、一個人の感想ですが。。。
Googleサービスの提供不可に?
GoogleはHuaweiに対してサービスの提供中止を検討しており、今後、Android OSのアップデートやGoogle Playストア、Gmail、YouTubeアプリといったGoogleアプリが利用できなくなる可能性があります。
その一方でGoogleは、Huaweiの既存の機種に対しては、Google Playやセキュリティ保護機能を継続して利用できるとの声明を発表しました。
ところで、Googleの次期OSであるAndroid Qを利用することができるのでしょうか?
今のところ明確にはなっていないようですが、オープンソースOSは利用可能との情報もあり、となるとAndroid Qも利用することができるような気がします。
一方で、Googleのアプリ開発者向けのページ(Android Q Beta Devices)からは、ベータ版の対象デバイスの一覧からHuaweiのスマホが削除されているようです。
ただし、当該ページをたどっていくと、あくまでベータ版の対象デバイスの定義は「Eligible(適格な) Parter Device」とのことですので、あくまでHuaweiがアプリ開発用として「PCでAndroid Studioというソフトを用いてAndroidアプリを開発するための仮想のデバイス」として適格でなくなったというだけで、正式版自体は使用できるのかも知れません。
個人的には所有するP30 ProでAndroid Qを使用できるに越したことないので、今後の報道に注目です。
なお、Huaweiは独自のOSを開発しているため、もともとGoogleサービスが制限されている中国国内では、その影響はあまりなさそうです。
プロセッサ(Kirin)の製造ができなくなる?
HuaweiはKirinというプロセッサを独自で開発しています。しかしながら、プロセッサのアーキテクチャ(基本設計)はARM(アーム)の特許使用に関するライセンス契約を結んでおり、たとえばP30 Proのプロセッサ「HiSilicon Kirin980」のCPUにはARMのCortex A76アーキテクチャとZ56アーキテクチャが、GPUにはARMのMali G76コアが用いられているようです。
ARMが提供するライセンスにはアメリカに由来する技術が含まれるため、ARMはアメリカ政府による禁輸措置の発表を受け、Huaweiとの取引停止を社員に指示したとのことです。
ARMのライセンスを使用できないとなると、Huaweiはプロセッサを製造できなくなると言われています。
その一方で、Kirinを製造するHuaweiの子会社HiSilicon(ハイシリコン)は、すでにARMの技術を凌駕しているとも言われていることから、ARMのライセンスに依存することなくプロセッサを開発可能であるのではないか?とも思います。
そのような中、Huaweiは1年分の半導体チップをストックしているようで、その間に独自技術に基づくプロセッサの完全内製化を実現するということを、個人的には期待します。
P30シリーズの日本版販売中止?
P30シリーズの販売予定は下表のとおりでしたが、現在、Docomoやauでは事前予約受付を停止している状況です。
また、UQ mobileやY! mobileでも発売延期の発表がされています。
AmazonもHuawei製品の直販を停止しました(ただし外部の販売者による出品は購入可能)。
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P30 Pro
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P30
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P30 Lite
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特にDocomo版のP30 Proはおサイフケータイがついているので、日本で使うならグローバル版よりも断然Docomo版が良いと思うだけに(6MB+128MBだとしても)、発売中止となってしまったら非常に残念ですね。。。
参考文献
アームを超えた中国スマホ半導体、自前の環境で改造し性能向上 | 日経 xTECH(クロステック)
Huawei built up a year's worth of chip inventory expecting a ban - PhoneArena